CHANEL NEWS

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FROM LOUIS XIV TO NAPOLEON TO CHANEL

マドモアゼル シャネルが最初のブティックを構えたカンボン通りからほど近い、ヴァンドーム広場15番地にホテル リッツがあります。この八角形の広場は当初、ルイ14世の騎馬像を設置するために敷設されました。設計はジュール アルドゥアン=マンサールによるもので、周囲には個人の邸宅が建てられました。リッツのファサードや屋根、2階部分の装飾は、現在、いずれも保存に値する歴史的建造物としての指定を受けています。

広場の円柱は、1804年から1818年の間にナポレオンが建立したものです。高さ43メートルにも及ぶ、ローマのトラヤヌス記念柱を模したこの円柱は、アウステルリッツの戦いでのフランス軍の勇敢な勝利を称え建てられたものでした。柱の外側には、敵軍から押収した大量の大砲を溶かして得られたブロンズが使われました。その後、円柱はパリ コミューン期の1871年に取り壊されることになります。画家のギュスターヴ クールベは、この円柱破壊事件の扇動者の1人として投獄され、後に再建の費用を負担するように命じられました。

この夏の夜、グランパレでは、まったく趣の異なる像が円柱の頂から周囲を見下ろしていました。誰もが知るこの円柱の頂上に立つのは、ナポレオンではなくマドモアゼル シャネル。伝説的な夜の広場を想起させるセットの中で、ライトに照らされたファサードが闇に浮かび上がり、その光が濡れたアスファルトのように黒く艶やかにランウェイに反射します。2011/12秋冬 オートクチュール コレクション ショーは、ガラスの天井に夜空の星々が輝く下で開催されました。

写真: フレデリック デヴィッド

coco-and-place-vendome
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COCO AND PLACE VENDÔME

「シャネルとヴァンドーム広場には、とても深いつながりがあります。マドモアゼル シャネルはホテル リッツで暮らしていましたし、ファインジュエリーのブティックもオープンしました。ここはパリのなかでも特にパリらしい場所で、マドモアゼルがヴァンドーム広場で撮った写真も数多く残っています。リッツの神話は今もリッツとともにあり、ヴァンドーム広場もまたその一部なのです」カール ラガーフェルドはこう語ります。

1920年以降、マドモアゼル シャネルは「居を構える」ことを拒んでリッツを定宿にしていましたが、1937年以降は、リッツの4階のスイートルームを住居として晩年を過ごしました。

ヴァンドーム広場は、彼女に数々のインスピレーションをもたらしました。初めて発表した香水「N°5」の8角形のボトルストッパーは、ヴァンドーム広場のフォルムを想起させます。その後、発表されたウォッチ「プルミエール」もまた、この広場の美しい形をかたどっています。

現在、マドモアゼル シャネルが過ごしたリッツのスイートルームの対面、ヴァンドーム広場18番地に構えているのは、1997年にオープンしたシャネルのファインジュエリー ブティックです。

写真: 1937年―ホテル リッツ パリにて、スイートルームのバルコニーに佇むガブリエル シャネル© Photo Roger Schall / Collection Schall

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THE HAUTE COUTURE SHOW
BY ELISABETH QUIN

パリのグラン パレにヴァンドーム広場が再現されました。その中央にそびえ立つ、目が眩むような高さの円柱の上には、モノクロカラーのマドモアゼル シャネルの像が、オートクチュール コレクション ショーに集ったゲストを明らかに歓迎していない様子で佇んでいます。マドモアゼルは、この夏の日の夜の喧騒やファッション業界、そしてこの100年を気難しそうに俯瞰しながら、その尊大な存在感を見せつけます――彼女に視線を向けようにも、そのスカートを見つめるしかないほどです。それは、ファッションの根底にあるもの。おそらく、カール ラガーフェルドは常に彼女の存在を楽しんでいるのでしょう。今回のオートクチュール コレクションで表現された、1880年から2011年に渡るシャネルの美を象徴するシルエットやフェティシシズム、アイコンに、私たちは深く魅了されました。

そして、2011年を表現する瞬間には、限りなくフェミニンな慎ましさと、一方で、両性的なアンドロジニーが存在します。決して誇示することのないラグジュアリー。真のエレガンスと溶け合う、まぎれもなく最先端なスタイル。ボートネックのフューシャのイヴニングドレスに合わせているのは、刺繍を施した黒いヴォイルのフィンガーレスグローブ。キルティングのスーツには、スパンコールや刺繍で縁取られたジッパーがアクセントとなり、その強烈な印象でロックな雰囲気をいっそう高めています。フェザーやヴォイル、レースのフリンジが、イヴニングスタイルに包まれた白鳥や黒鳥に息吹を吹き込むかのように、自己主張をプラスしています。
カール ラガーフェルドにより新しい解釈を加えられたのは、ギャザーを寄せたボリュームのあるスカートや壮麗な装飾がアクセントとなっているバスク ジャケット、丸い襟先が特徴のピーターパン カラー、ノーカラーのスーツやストレートなラインが特徴のスーツ。セクシーな切り込みを施したショルダー部分のディテールや、幻想的な輝きを放つラインストーンのボタン、カール ラガーフェルドならではともいうべき貴婦人のような堂々とした高い襟。バイカラーのブーツは、透け感のある素材やマサロにより全面に刺繍が施されたものなど、若々しさと躍動感を表現しています。

1880年に遡れば、ボーターハットは流行に敏感な人々に好まれたアイテムでした。今回のコレクションでは、フェザーやチュール、リボン、刺繍などの装飾や、カメリアが散りばめられたもの、ツイードで覆われたものなど、魅力を増したあらゆるスタイルでボーターハットが登場し、コレクションにアクセントを加えていました。ボーターハットはマドモアゼル シャネルの永遠のシンボル。そのシンプルさを愛したマドモアゼルは、20世紀初頭にボートやサイクリングのファッションからヒントを得て、すぐに自分のスタイルに取り入れました。グラン パレに煌めく星空は、フランス、シャトゥーにあるレストラン「メゾン フルネーズ」での情景を描いたルノワールの作品、「Le déjeuner des Canotiers(舟遊びの人々の昼食)」を想起させます。そして思い出すのは、「麦わら帽子とジャージーに身を包んだ漕ぎ手たちは、どんな気取った若い男よりも魅力的」と、セーヌ川の舟乗りについて歌う、あるシャンソンの歌詞。(アラン シャルティエによる1859年の作品、「Canotage, Glouglou, Stella et Mignonne」より)
時代から時代へ、陽気に行き来する眩いコレクション。小生意気な雰囲気とともに表現しているのは、どこまでも若々しく、永遠にエレガントなシルエットです。

ショー全編をご覧いただくには chanel.com

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EVANESCENT METAMORPHOSES
BY KARL LAGERFELD

カール ラガーフェルドはこのフィルムで、マスキュリンとフェミニンの両面を、幻想的な世界観のなかで表現しています。アンドロジナス――男性と女性の分岐点に位置する両性的なイメージで登場したモデル、クリスティーナ サリノヴィックが、女性らしく変貌していく姿がフィルムに映し出されています。

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CELEBRITIES REVIEW

Celebrities at the Fall-Winter 2011/12 Haute Couture show
Grand Palais, Paris

 

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COCO VENDÔME

カール ラガーフェルド インタビュー

シャネルとヴァンドーム広場には、とても深いつながりがあります。マドモアゼル シャネルはホテル リッツで暮らしていましたし、シャネルのファインジュエリーのブティックもここにオープンしました。このヴァンドーム広場はパリのなかでも特にパリらしい場所。マドモアゼルがこの広場で撮った写真も数多く残っています。リッツの神話は今もリッツとともにあり、ヴァンドーム広場もまたその一部なのです。マドモアゼル シャネルが、晩年をこの場所で過ごし、戦前はリッツの広いスイートルームに暮らしていたように、シャネルはヴァンドーム広場ととても深い関わりをもっていると思います。私は、この場所の建築物がとても好きなこともありますが、今回のセットはむしろGPSにインスピレーションを得ています。発想としては、車に備え付けられたGPSのスクリーンに、ヴァンドーム広場の位置を示すようにネオンが輝くイメージです。

ゲストに見てもらうのはドレスですから、会場に到着した時に、そのセットがどんなに素晴らしかったとしても、席に座り、コレクションが始まればドレスに集中してもらわなければなりませんし、そうであることを願っています。ご承知の通り、今の時代は、どんなにドレスが素晴らしくても、ドアがあって、そこからモデルが出てくるだけでは、誰も見向きもしません。ショーはインターネットで世界中に配信されます、それも数カ月に渡って。シャネルのようなブランドにとって、これは至極当然のことです。一夜限りのことにこれほどの資金を投じるのは、私自身はとてもシックなことだと思いますが、普通のことではありません。世界中の人々に見ていただくのですから。

今回のセットには満足しています。素晴らしい仕上がりだと思います。今回のショーでは、真夜中のステージを造る必要がありました。昼間では意味がないのです。今は存在するかどうかもわからない、夜のパリでなければ。

男性的なたくましさとは違う、少年のシルエットのような、とても両性的なイメージ。私は女性の二面性に大きな魅力を感じています。マドモアゼル自身もそういう人でした。とてもロマンティックなドレスを作る一方で、オーストリアの紳士服や英国のジャケットにヒントを得たスタイルを取り入れ、また、2つボタンのスーツのデザインからシャネルのジャケットを生み出しました。このジャケットは何にでも合わせることができます。時代を超えたファッションアイテムとして定着しているからです。シルエットは常に新しくしなければなりませんが、このアイテムの位置づけは、Tシャツやジーンズと同じです。つまり、ロマンティックなドレスと違って性別を選びませんから、アンドロジナスなスタイルに欠かせないアイテムなのです。

私の課題は、マドモアゼル シャネル自身のデザインではないものを、「これこそシャネル」と納得させること。マドモアゼルがこの世を去ってから長い年月が経ち、私自身、シャネルとの関わりが長くなっていくなかで、このブランド、このイメージ、このスタイルでさまざまな遊びを仕掛けてきました。これほどの力をもつブランドは決して多くありません。

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FALL-WINTER 2011/2012 HAUTE COUTURE

 2011/12秋冬 オートクチュール コレクション ショー
7月5日、グラン パレにて

 ぼくが説明するまでもないかもしれないけれど、ヴァンドーム広場は、上からみると綺麗な八角形をした広場である。その広場には、対面するように二 つのストリートが接続されている。

今回のショーのセットは、 会場であるグランパレの中に、このヴァンドーム広場をとても抽象的に再現したものである。その抽象化された広場自体がランウェイになっていて、 同じように抽象化されたモニュメンタルなコラムを中心にモデルたちが歩き回る。

ぼくたち観客は、接続される片方のストリートから広場に入り、そのなかを歩いてそれぞれの席に辿り着く。ショーが始まると、今度は逆のストリートか らモデルたちがあらわれる。ぼくたち観客とこのショーのモデルたちは、時間差で同じランウェイを歩くことになる。もしかしたら、ぼくたち自身も、このセッ トのなかで何かを演じる役者なのかもしれない、ふとそう思った。ぼくはその気になって、自分が実際の街のなかで、このショーを眺めることを想像してみる。 たとえば、こんな感じに。

 「ぼくは、少し早めの夕食を済ませ、空が薄っすらと赤く染まるパリの街を気持ちよく散歩をしている。すると、突然、大きな広場に出る。その空間 (広場というよりは空間と呼びたくなる。)の均整がとれた形状と、それをかたちづくる美しいファサードに見とれて、ぼくは少しの間たちつくす。八角形に切 り取られた夕刻の空が、とても綺麗だ。そのとき、向こうのストリートから、見た事もないような服を身にまとった人たちが次から次へと、列をなして広場に流 れ込んでくる。この世のものとは思えない衣装の行進が僕の目の前を通り過ぎてゆく。ぼくは驚いて、この光景が現実なのか、夢なのか、様々な角度から考えて みる。そういう思考を巡らしているうちに、広場から、不思議な行列はどこかに消え、おなじ場所で今度は不思議なパーティが始まる。どこからともなく、集ま る人々。ぼくはそのパーティにも、いつの間にか参加をしている。夕暮れ時のパリ、すべてがある美しい空間で、瞬く間に、起こったことだ。」

 現実のヴァンドーム広場を思い浮かべて、そんな空想をショーの間に楽しんでいた。

撮影: オリヴィエ サイヤン