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FALL-WINTER 2011/2012 HAUTE COUTURE

 2011/12秋冬 オートクチュール コレクション ショー
7月5日、グラン パレにて

 ぼくが説明するまでもないかもしれないけれど、ヴァンドーム広場は、上からみると綺麗な八角形をした広場である。その広場には、対面するように二 つのストリートが接続されている。

今回のショーのセットは、 会場であるグランパレの中に、このヴァンドーム広場をとても抽象的に再現したものである。その抽象化された広場自体がランウェイになっていて、 同じように抽象化されたモニュメンタルなコラムを中心にモデルたちが歩き回る。

ぼくたち観客は、接続される片方のストリートから広場に入り、そのなかを歩いてそれぞれの席に辿り着く。ショーが始まると、今度は逆のストリートか らモデルたちがあらわれる。ぼくたち観客とこのショーのモデルたちは、時間差で同じランウェイを歩くことになる。もしかしたら、ぼくたち自身も、このセッ トのなかで何かを演じる役者なのかもしれない、ふとそう思った。ぼくはその気になって、自分が実際の街のなかで、このショーを眺めることを想像してみる。 たとえば、こんな感じに。

 「ぼくは、少し早めの夕食を済ませ、空が薄っすらと赤く染まるパリの街を気持ちよく散歩をしている。すると、突然、大きな広場に出る。その空間 (広場というよりは空間と呼びたくなる。)の均整がとれた形状と、それをかたちづくる美しいファサードに見とれて、ぼくは少しの間たちつくす。八角形に切 り取られた夕刻の空が、とても綺麗だ。そのとき、向こうのストリートから、見た事もないような服を身にまとった人たちが次から次へと、列をなして広場に流 れ込んでくる。この世のものとは思えない衣装の行進が僕の目の前を通り過ぎてゆく。ぼくは驚いて、この光景が現実なのか、夢なのか、様々な角度から考えて みる。そういう思考を巡らしているうちに、広場から、不思議な行列はどこかに消え、おなじ場所で今度は不思議なパーティが始まる。どこからともなく、集ま る人々。ぼくはそのパーティにも、いつの間にか参加をしている。夕暮れ時のパリ、すべてがある美しい空間で、瞬く間に、起こったことだ。」

 現実のヴァンドーム広場を思い浮かべて、そんな空想をショーの間に楽しんでいた。

撮影: オリヴィエ サイヤン

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